値上げの記録を取るつもりが、値下げが出てきた

SaaS の価格は上がるものだと思って Linear の料金ページを4年分並べたら、途中で下がっていた。

上位プランは $12 で始まり、2022年のうちに $14 になり、2024年5月に $12 へ戻り、同年12月にまた $14、そして2025年11月に $16。行ったり来たりしている。

おもしろいのは値下げのタイミングだ。2024年5月、Linear はプラン名を Standard / Plus から Basic / Business に変えている。その改名と同時に価格を下げ、同時に無料枠へ新しい上限をひとつ足した。

値段だけ追っていると、この改定は「値下げ」に見える。

改名の前後で、3つが同時に動いた

2024年4月19日と5月16日のスナップショットを突き合わせる。この間に改定が入っている。

2024-04-192024-05-16
プラン名Standard / PlusBasic / Business
上位プラン$14$12
無料枠の月間アップロード量150 MB per month記述が消えた
無料枠のチーム数記述なし2 teams

下位プランは $8 のまま動いていない。

上位が $2 下がり、無料枠の月間アップロード制限が外れ、そのかわり無料枠で作れるチームが2つまでになった。緩めた箇所と締めた箇所が同じ改定に入っている。

「2 teams」は改定前の比較表に存在しない項目だ。値下げのニュースとして読むと、この行の新設は視界に入らない。

価格の推移そのもの

確認できた範囲での上位プランの動き。すべて年払いの表示価格である。

時期上位プラン下位プラン
2022年初$12$8
2022年10月$14$8
2024年5月(改名)$12$8
2024年12月$14$8
2025年11月$16$10

下位プランが動いたのは4年間で一度きり、2025年秋の $8 → $10 だけだ。上位が $14 から $16 に上がったのも同じ窓に入っている。

つまり2025年秋の改定は、上下そろえての正面からの値上げだった。2024年のような、名前と条件をいじりながらの調整とは性格が違う。

無料枠のほうは、ほとんど動いていない

意外だったのはここだ。

issue の上限250件、メンバー数無制限、ファイルサイズ上限10MB。この3つは2022年の最初のスナップショットから今日まで変わっていない。4年間そのままだ。

無料枠で動いたのは、さきほどの「2 teams」の新設と、それと引き換えに消えた月間150MBの制限だけになる。

前に扱った Plausible は、価格を17ヶ月据え置いたまま無料相当の枠を10分の1にした。Linear は逆で、価格は動かしつつ無料枠はほぼ触っていない。同じ「SaaS の値上げ」でも、どこを削るかは会社によってまるで違う。

この記事で確認できなかったこと

先に限界を書いておく。

価格改定が起きた2つの窓、2024年4月19日〜5月16日と2025年10月8日〜11月12日には、その間の保存が1件もない。CDX で確認したので取得漏れではなく、単に誰も保存していない期間だ。したがって改定日は1ヶ月幅までしか絞れていない。

もうひとつ。ここに並べた価格はすべて年払いの表示だ。Linear の料金ページは既定で年払いを表示し、保存されるのもその状態になる。月払いの数字は一度も保存されていない。2024年12月より前は「20%オフ」の表示から逆算できたが、その表示自体がその後消えたので、それ以降は推定もできない。

SSO / SAML がどのプランから使えるかも追おうとしたが、比較表のアイコン列が保存データから正確に読み取れなかったため落とした。推測で埋めるよりは空けておく。

契約前に見る場所

プラン名が変わった改定は、値段だけ見ても評価できない。名前が変わるということは、その中身の定義ごと書き換えられているということだ。

見るべきは差分のほうで、具体的には無料枠の行が増えていないかを確認する。Linear の「2 teams」も、Plausible の「One site」も、増えた行として現れた。減った金額より、増えた行のほうが効く。

値段が下がった改定ほど、条件を読んだほうがいい。

出典

数値はすべて Internet Archive に保存された Linear 公式の料金ページから読み出した。プラン名・価格・比較表の但し書きを直接確認している。

公式が公開している料金と提供内容という事実のみを扱っている。利用者の投稿やレビューは使っていない。