「込み」になったほうが安い、とは限らない

機能が有料アドオンからプランに同梱されると、たいてい値下げのニュースとして流れる。追加料金なしで使えるようになりました、と。

2025年の Notion AI がそれだった。ただし保存された料金ページを並べると、順番が逆に見える。

先に上位プランが33%上がっている。AI が同梱されたのは、その2ヶ月あとだ。

2つの改定は別々に起きている

2025年5月・7月・9月のスナップショットを並べる。数字は年払いの1メンバーあたり月額。

2025-05-042025-07-012025-09-01
Business$15$20$20
「Add Notion AI」の購入トグルありあり消えた
プラン機能としての AINotion AI included

値上げが起きたのは5月から7月のあいだ。このときAIはまだ単体で買えた。

同梱に切り替わったのは7月から9月のあいだで、値上げからは独立している。ひとつの改定として語ると間違える。

消えたのは価格ではなく、選択肢のほう

9月のページには「Notion AI included」と「Trial of Notion AI」が同居している。上位プランには含まれ、下位プランには試用が付く、という構成だ。

単体購入のトグルはどこにもない。

つまり無料プランと Plus の利用者は、いくら払っても本体の AI を買えなくなった。以前は追加料金を払えば使えたものが、プランを上げないと届かないところへ移動している。

個人や少人数で Plus を使っていて AI も欲しい、という層にとっては、これは実質的な値上げになる。ただし「値上げ」という言葉はどこにも出てこない。

前年にも似たことが起きていた

2024年、Plus の年払い価格が $8 から $10 に上がっている。25%だ。

これが見えにくかったのは、ちょうど同じ時期に notion.so から notion.com へのドメイン移行と料金ページの作り直しが重なったからだった。表示形式が「2つの価格を並記」から「年払いを既定にしたトグル」に変わっている。

移行前と移行後のスクリーンショットを見比べても、レイアウトが違いすぎて価格の差に目がいかない。デザイン変更は、価格変更のいちばん有効な隠し場所になる。

ついでに古い話もひとつ。無料プランの1,000ブロック上限は、Notion が公式に「全プラン無制限」と言い出すより1年ほど早く、実際にはページから消えていた。こちらは利用者にとって得な方向の変更だが、やはり告知より先に静かに動いている。

確認できなかったこと

Notion AI のアドオン単体価格は、保存データから取れなかった。価格がトグルの裏で描画される作りになっていて、静的なスナップショットには数字が残っていない。金額を書けないので書いていない。

月払いの価格も、2024年9月以降は復元できない。料金ページが年払いを既定でサーバー側描画するようになり、月払いの数字が保存されないためだ。この記事の価格はすべて年払い表示である。

無料プランのブロック上限が消えた時期は、2019年12月から2020年6月の6ヶ月幅までしか絞れていない。ちょうどその区間のスナップショットが取得できなかった。

学生プランの実価格は、どの年のデータからも見つからなかった。

なお2025年1月のスナップショットは1件だけユーロ建てで描画されていた。クローラの所在地によるものと判断して、価格の根拠からは外している。

同梱のニュースを読むとき

見るべきなのは、同梱される前にその機能を単体で買えていたのは誰か、という点だ。

買えていた相手が同梱先のプランより下にいるなら、その人にとって同梱は値上げになる。追加料金がなくなったのではなく、プラン料金に吸収されたうえで、下位プランからは手が届かなくなっている。

「込み」は値下げの言葉に見えて、買える相手を選ぶ言葉でもある。

出典

数値はすべて Internet Archive に保存された Notion 公式の料金ページから読み出した。プラン価格と、AI の購入トグルおよびプラン機能としての記載を直接確認している。

2017年から2024年11月までは notion.so、それ以降は notion.com にページが存在する。両方をつないで確認した。

公式が公開している料金と提供内容という事実のみを扱っている。利用者の投稿やレビューは使っていない。