73%下がった、と書くと嘘になる
2025年秋、メール配信サービスの Postmark が料金を改定した。
Pro は月 $60.50 から $16.50 へ。Platform は $138.00 から $18.00 へ。表示価格だけ見れば73%と87%の値下げだ。
同時に、その金額に含まれる通数が変わっている。Pro は50,000通から10,000通へ、Platform は125,000通から10,000通へ。
1,000通あたりで割り直すと、上がっている。
割り算をするとこうなる
| プラン | 2025-08-01 | 2025-09-12 | 1,000通あたり |
|---|---|---|---|
| Basic | $15.00 / 10,000通 | $15.00 / 10,000通 | $1.50 → $1.50 |
| Pro | $60.50 / 50,000通 | $16.50 / 10,000通 | $1.21 → $1.65(+36%) |
| Platform | $138.00 / 125,000通 | $18.00 / 10,000通 | $1.104 → $1.80(+63%) |
Basic だけが完全に据え置きだった。金額も通数も動いていない。
動いたのは上位2プランで、どちらも表示価格が大きく下がり、単価が上がっている。
ボリューム割引が消えている
改定前の3プランは、上に行くほど1通が安くなる構造だった。$1.50 / $1.21 / $1.104 と、まとめて買うほど得になる。よくある形だ。
改定後は3プランとも10,000通から始まり、単価は $1.50 / $1.65 / $1.80 と、上に行くほど高い。
順序が逆転している。通数で階層を分けるのをやめた結果、上位プランは通数以外の何かに対して払うものになった。それが何であれ、少なくとも「たくさん送るほど安い」ではなくなっている。
この改定を報じるなら
表示価格の差だけを見て「Postmark が大幅値下げ」と書くのは、事実の引用としては正しく、内容としては誤報になる。
逆に「実質値上げ」と書くのも、10,000通で足りる利用者には当てはまらない。その層にとって Pro は $60.50 から $16.50 になった、それだけの話だ。
改定の向きが利用者の規模によって反転する。こういうときに単一の見出しを付けようとすると、必ずどちらかに嘘が混ざる。
確認できていないこと
改定後の各プランの超過料金が取れなかった。改定前のページには Basic に「Extra emails @ $1.80 / 1,000」と書かれており、改定後の Basic も同じ表記だったが、Pro と Platform の超過単価は保存されたページから読み出せていない。
したがって、これまで Pro で50,000通を送っていた利用者が改定後にいくら払うのかは、この記事では計算できない。含まれる通数が5分の1になったので超過分が発生するのは確かだが、その単価が分からない。
ここが分かれば、いちばん知りたい層にとっての答えが出る。分からないまま概算を書くほうが害が大きいので、書いていない。
単位を揃えないと、値上げは見えない
価格表に並ぶのは月額だ。だが実際に買っているのは通数であって、月額ではない。
分母が動いた改定では、分子だけを比べても意味がない。$60.50 と $16.50 は比較できる数字に見えるが、片方は50,000通の値段で、もう片方は10,000通の値段だ。
値段が下がったかどうかは、割ってみるまで分からない。
出典
数値はすべて Internet Archive に保存された Postmark 公式の料金ページから読み出した。プランごとの月額と「Starting at N emails/month」の記述を直接確認している。
- 2025年8月1日の料金ページ(Pro $60.50 / 50,000通)
- 2025年9月12日の料金ページ(Pro $16.50 / 10,000通)
- Postmark 料金ページ
改定日は2つのスナップショットのあいだまでしか絞れていない。
公式が公開している料金と提供内容という事実のみを扱っている。利用者の投稿やレビューは使っていない。